南フランス・ニースの花祭りの山車の通り道にミモザの花が匂う。マティスは、ホテル・レジナの画室でこの花を題材に切り絵(cut out)を制作した。米国のアレキサンダー・スミス・カーペット社からタペストリーの下絵を依頼されたのだ。「色紙を切り取ることは、石にフォルムを与える彫刻家の仕事に等しい。」晩年マティスは健康上の理由もあり、切り紙絵に専念した。切り紙絵は、絵画、素描、彫刻の統合とみるだけでなく、マティス芸術の全体像とみてよい。マティスにとって、それほど重要な表現手段であった。