1969年3月20日の日付のある高さ2メートル近いこの油彩の大作は、ピカソ88歳の制作である。老齢をまったく感じさせない、溌刺として力感あふれる表現、その旺盛な造形魂には驚くほかない。宮中警護役のこのひげ面の近衛兵と共に、金ピカの肩章に止まっている鳩は、いわば“平和”の象徴である。鳩は、ピカソの幼少時から絵の題材であり、娘の一人に“パロマ(鳩)”と命名するほど、この巨匠にとって心の安らぎだったのであろう。

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