8月24日午前10時より、当館企画展示室において、第24回こども絵画大会『世界の名画を描こう!』(7月23日から24日で開催)の表彰式が行われました。

 

司会進行は当美術館学芸員梶井椰子が務めました。

 

多少緊張した面持ちの受賞者たち。後ろでは付き添いでいらしたご家族の方が見守っています。

 

 

開式のご挨拶の後、館長の伊藤康伸よりご挨拶をさせていただきました。

 

 

 

 

「幼少期から本物の作品に親しむことは、貴重な経験で必ず生涯の財産になる。美術館でできる教育普及活動の一環として、これからも長く続けていきたい」という伊藤館長の言葉を児童たちも真剣に聞いていました。

 

 

 

 

続いて来賓の方々のご紹介をいたしました。

お忙しい中、ご参加くださいまして誠にありがとうございます。

 

 

(向かって右:伊東市教育長 髙橋雄幸氏、左:伊豆新聞本社代表取締役社長 竹川裕之氏)

 

 

(向かって右:審査員 彫刻家 重岡建治先生、 中央:審査員 洋画家 小灘一紀先生、 左:審査員 当館館長 伊藤康伸)

 

 

そして、いよいよ表彰式です。それぞれの作品の講評を重岡先生、小灘先生にお願いいたしました。

 

 

まずは、最優秀賞でもある伊東市長賞を受賞された 伊東市立南中学校3年 近藤紀穂(きほ)さん。

エドワード・シーゴーの「虹」を描きました。

 

 

 

 

審査員が作品を目にしてすぐに満場一致で最優秀賞に決定した作品です。中世の修道院跡にかかる美しい虹は、悠久の時間を感じさせます。難しい空も見事に描き切った、丁寧な筆遣いと卓越した技術、作品に漂う神聖さ、文句なしの受賞です。

 

 

次に、伊東市教育長賞、伊東市立南小学校4年 浜野ひな美さん。

ジョアン・ミロの「女」を描きました。

 

 

 

ミロの「女」は毎回人気がありますが、今回も大会開催日にたくさんのお子様が挑戦されました。見学にこられた重岡先生もその様子をご覧になられたそうですが、中でも特に良かったと仰いました。宇宙と大地を生きる女の堂々とした姿、陽気さが伝わってきます。

 

 

続いて、伊豆新聞本社賞 三島市立中郷中学校1年 原 来瞳(くるみ)さん。

エリー・ラスコーの「ブーゲンヴィレ」を描きました。

 

 

 

重岡先生は「見るのと、描くことは違うことだが、描くことで、ただ眺めることが、より深く観る、つまり絵を理解することになる」と言いましたが、ラスコーの絵画の特徴である白昼夢のような絵画世界を理解し表現された作品です。

 

 

次に 池田20世紀美術館賞の発表です。伊東市立南小学校 浜野まな花さん。

作品はパブロ・ピカソの「近衛兵と鳩」です。

 

 

 

この作品は、毎年多くのお子様によって描かれるピカソの作品ですが、鮮やかな色合いと細部への見事な描写が際立っていました。近衛兵は凛々しく精悍であり、金の肩章に乗った可愛らしい鳩との表情のギャップは、興味深いものです。

 

 

続いて館長賞です。伊東市八幡野小学校1年スチュアート翔(つばさ)さん。

ロイ・リキテンスタインの「化学の平和 Ⅰ」です。

 

 

 

リキテンスタインは赤、青、黄色の三色で描いていますが、たくさんの色を使って描きました。鮮やかな蛍光色が斬新なこの作品は、リキテンスタインの作品のポップな魅力を、異なる表現で描き切りました。翔さんはまだ小学1年生ですが、重岡先生も「絵を続けなさいね」と期待をこめて仰っていました。

 

 

続きまして団体賞です。今回13名の児童が参加してくださいました 社会福祉法人たちばな童園東伊豆認定こども園の先生が代表で参加くださいました。

 

 

 

 

そして同園の土田啓人(けいと)さんは、ジョアン・ミロの「海の前の人」を描き、見事ミロ賞を受賞されました。

 

 

 

本来のミロの作品はスペイン内戦時に描かれたもので、どこか暗いトーンで描かれているのですが、啓人さんの作品は、オレンジ、黄色、緑で鮮やかに描かれ、明るく希望に満ちたエネルギーに溢れています。観ていると元気をもらえますね!

 

 

次に重岡建治賞ですが、重岡先生自身の大理石彫刻作品「オスティヤの女」を描いた伊東市立対島中学校1年 渡邉もねさんが受賞しました。

 

 

 

3次元の彫刻を絵画にすることは、容易なことではありませんが、「本当によく描けている」と先生も仰っていました。鉛筆だけで勝負した力作です。陰影が見事です。

 

 

 

続いて リキテンスタイン賞 「化学の平和 Ⅰ」を描きました 下田市立朝日小学校4年 高橋大和さんです。

 

 

 

他の方の受賞作品でもありました「化学の平和 Ⅰ」ですが、こちらはリキテンスタインの作品に忠実な色合いで描かれました。構図も、ドット(点々)も、リキテンスタインの作品の特徴を正確に捉えています。

 

 

続いて、現在開催中の企画展作家である小灘一紀先生から送られる小灘一紀賞です。受賞者は2名いらっしゃいます。

 

まず伊東市立南中学校3年 森野莉愛(りあ)さん。

作品は「大気津比売神と五穀の起源」(おおげつひめとごこくのきげん)です。

 

 

 

この作品は、先生の作品から得たインスピレーションをもとに、想像を膨らませて描いたオリジナルの大気津比売(おおげつひめ)です。小灘先生は「描写力もあり、大気津比売をよく理解して描いている」「目に見えない神話の世界を、感動を持って創造していることが素晴らしい」と講評しました。日本の神話の不思議なエネルギーを感じられる作品です。

 

 

そして最後に 伊東市立南幼稚園富士見分園 年長 勝又璃人(りと)さんです。

「石長比売命と木花之佐久夜毘売命」(いわながひめのみこととこのはなさくやひめのみこと)を描きました。

 

 

 

「色が豊かで、線が柔らかい。気持ちがこもった作品で、パッと見てとてもいいと思った」と小灘先生は称賛していました。美しい姉妹の女神さまが、素直な視線で描かれています。

 

 

以上、入賞者10名と、一団体の代表者に表彰状と記念品が授与されました。

 

最後に全員揃って記念撮影です。

 

 

 

受賞者の皆さん、本当におめでとうございます。

来年もまたご参加いただけることを、心よりお待ちしております。

ご家族の皆様もご送迎と付き添いをありがとうございました。