9月2日(月)より当館画廊喫茶レジェにて、幾何学抽象アーティスト・森 光子氏と、フランス人写真家・エステル・ラガルド氏の共同展覧会を開催しております。

 

 

 

 

 

森光子氏は栃木県足利市でお生まれになり、神奈川県茅ケ崎市で育ちました。東京藝術大学で絵画科油画専攻し(山口薫教室)、大学院まで進まれた後は、フランス政府給費留学生として渡仏し、パリの国立美術学校で学ばれました。その後現在に至るまで、主にパリを拠点に活動されていらっしゃいます。

 

 

今回、エステル・ラガルド氏の撮影したパリの森氏のアトリエの写真も展示されております。

 

 

 

 

ラガルド氏もパリで活躍される写真家です。彼女の写真的アプローチは、人と空間の関係を探求するもので、特別な舞台設定に架空の人物を登場させ、テーマに物語の要素を加えています。

 

 

 

 

森氏の幾何学形態の探究は、正方形、三角形と始まり、1991年ごろより今回の展示作品のメインテーマとなる正五角形(ペンタゴン)に興味をもたれました。

 

 

 

 

きっかけは当時勃発した湾岸戦争のニュースで、アメリカの国防総省の本庁舎の画像とともに、「ペンタゴン」という言葉を頻繁に耳にしたことです。

一省庁として世界最大規模を誇るアメリカの象徴であるペンタゴンは、外郭が五角形であることからそう呼ばれています。

 

 

また正五角形は、芸術において人間がもっとも美しいと感じる比率「黄金比」に基づいています。

 

 

《正五角形の中の、ひし形と二つの二等辺三角形が交わる点が、この作品の黄金分割点》

 

また先生は、17世紀にルイ14世につかえた築城の名手ヴォーバンの築いた城塞について触れられました。

2008年に世界遺産に登録されたリール要塞、フヌ-ブリザッフ要塞の城塞都市は、やはり正五角形を模しています。

それは19世紀に築造された北海道の五稜郭も同様であり、これはヨーロッパの城塞都市からヒントを得ているそうです。

 

 

他にも正方形をテーマにした作品、またスペインのアルハンブラ宮殿のモザイクを反転させた作品など、

 

 

《イスラム教文化圏では、建築においても具象的なものは使われません》

 

 

どれも色鮮やかな色彩と、複数の異なる幾何学形態や、線を組み合わせながらも、そこには完全な調和、つまり黄金比的均整のとれた穏やかな空間が存在しています。

 

 

 

 

 

展示は9月29日(日)14時までです。是非お出かけください。

 

 

 

作家近影 「円と五角形」