暗緑色の空に、黄色の光線を放つ太陽と赤い月。赤い海面に、故郷カタルーニャの地図を思わせる緑の色面。何かを訴え叫んでいるような女の顔には緊迫感がある。彼女の背後に凶兆を感じさせる暗雲が広がる。この作品発表の前年、1937年のパリ万国博スペイン館に、ミロはピカソの「ゲルニカ」と並んで「刈り入れ人」(展示後、行方不明)を出品した。その作品に示した戦争の残虐に対する抗議とカタルーニャへの愛郷心が、ここに余韻として残っているようだ。

© Successió Miró / ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2023       G3386