- 2025.05.01
今月の1枚(2025年5月)
2025年5月は、パブロ・ピカソの作品です。
「近衛兵と鳩」 1969年 油彩 195.4×130.1㎝
現在、この作品は当館常設展示室でご鑑賞いただけます。
パブロ・ピカソ(1881年-1973年)
20世紀美術における比類なき天才。《怪物》とまで称された。
スペイン、マラガ生まれ。幼少期よりその画才を発揮し、15歳の時、「科学と慈愛」がマドリードの総合美術展で佳作を受賞。同年、王立サン・フェルナンド美術アカデミーに進学するが、学校には通わず美術館で学ぶ。1900年、パリに移り、20歳の時の初個展は大成功するが、親友の悲劇的な死を悼み、作風は「青の時代」と呼ばれる憂愁を帯びたものであった。その後明るい色調の「バラ色の時代」を経て、ジョルジュ・ブラックとともに「キュビスム」を創設。第一次大戦後は新古典主義に移行し、その後シュルレアリスムな作風も見られる。1937年のフランコ軍を支援するナチス・ドイツ軍によるゲルニカ無差別爆撃に抗議した「ゲルニカ」はピカソの最高傑作のひとつである。以降も、1949年の第1回パリ国際平和擁護会議のポスターに彼の描いた「鳩」の絵が使用されるなど、平和運動への貢献から、数々の平和賞を授与している。本作「近衛兵と鳩」 にも平和の象徴である鳩が描かれている。鳩は子供の頃から彼にとって特別なモチーフであり、末娘にもスペイン語で〈鳩〉を意味する〈パロマ〉と名付けるほどであった。