2025年2月は、モイズ・キスリングの作品です。
「女道化師」 1927年 油彩 161.0×114.5㎝
現在、この作品は当館常設展示室でご鑑賞いただけます。

 

 

 

 

モイズ・キスリング(1891年-1953年)

 

クラクフ大公国に生まれたポーランド系ユダヤ人の画家。エコール・ド・パリの《七星》一人で、生涯を通して好運に恵まれた。1910年パリに出て、ピカソ、ブラック。グリスら画家たちと交流を持つ。中でも夭逝した親友モディリアーニは、同じくユダヤ人のルーツを持ち、キスリングのパリでの青春を色濃く彩った。第一次世界大戦中の軍功により、フランス国籍を獲得。第二次大戦中は、ナチスのユダヤ人迫害から逃れるためアメリカに亡命。戦後、再びパリに戻る。明るい鮮麗な色彩と艶やかな絵肌で描く女性像は、異国情緒に満ちた官能美もさることながら、反面、その表情にはそこはかとない憂愁と孤独感が漂っている。

「女道化師」は、キスリングの卓越した技術と独特の色彩感覚が見事に融合した傑作の一つであり、彼の芸術的探求の深さと人間の複雑な感情を描き出す能力を如実に示している。